特殊健康診断
特殊健康診断とは、労働安全衛生法第66条第2、3項に定められた健康診断で、じん肺法第3条に定められていた健康診断を含めていいます。
労働衛生対策上特に有害であるといわれている業務に従事する労働者等を対象として実施する健康診断です。
当協会では、ほぼすべての特殊健康診断を受託しており、毎年、全国の労働衛生団体中トップクラスの実施実績がございます。是非ご相談ください。
有機溶剤健康診断
受診者が関係する有機溶剤の種類により特定の検査項目が定められています。
- グループ
- 有機溶剤の種類
- A
- キシレン
- 1・1・1-トリクロルエタン
- トルエン
- ノルマルヘキサン
- B
- N・N-ジメチルホルムアミド
- C
- 二硫化炭素
- D
- エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)
- エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)
- エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)
- エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)
- E
- オルトージクロルベンゼン
- クレゾール
- クロルベンゼン
- 1・2-ジクロルエチレン(二塩化アセチレン)
- F
- A〜Eまで以外の有機溶剤
健診項目
基本検査(AからFまでのグループ共通の健診項目)
業務の経歴の調査・有機溶剤による健康障害ならびに自覚症状および 他覚症状の既往歴の調査有機溶剤による自覚症状または他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
- 尿中代謝物検査
- 尿中のメチル馬尿酸の量の検査
- 尿中のトリクロル酢酸または総三塩化物の量の検査
- 尿中の馬尿酸の量の検査
- 尿中の2・5-ヘキサンジオンの量の検査
- 尿中N-メチルホルムアミドの量の検査
- 血清・血液学的検査
- 肝機能検査(GOT,GPT,γ-GTP)
- 貧血検査(赤血球数、ヘモグロビン)
- 眼底写真撮影検査
※尿中の馬尿酸の検査をするときに、イチゴ・スモモ・ウメ・クランベリーなど安息香酸を多く含む食品や 保存料として安息香酸を加えた飲料を多量に取ると、検査データが高くなることがあります。
鉛健康診断
鉛を取り扱う業務の方の暴露と健康状態の検査です。
必ず実施すべき項目
- ・業務の経歴の調査
- ・鉛による自覚症状又は他覚症状の既往歴の調査
- ・血液中の鉛の量及び尿中のデルタアミノレブリン酸の量の既往の検査結果の調査
- ・自覚症状又は他覚症状の有無の検査
- ・血液中の鉛の量の検査
- ・尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査
医師が必要と認めた場合に行う検査
- ・作業条件の調査
- ・貧血検査(赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血清鉄、網状赤血球数)
- ・赤血球中のプロトポルフィリン量の検査
- ・神経内科学的検査
特定化学物質健康診断
特定の化学物質を取り扱う労働者が対象となる法定健康診断です。
対象となる有害物質
- ベンジジンおよびその塩
- エチレンイミン
- 水銀およびその無機化合物
- βーナフチルアミンおよびその塩
- 塩化ビニル
- トリレンジイソシアネート
- ジクロルベンジジンおよびその塩
- 塩素
- ニッケルカルボニル
- αーナフチルアミンおよびその塩
- オーラミン
- ニトログリコール
- o-トリジンおよびその塩
- o-フタロジニトリル
- パラーニトロクロルベンゼン
- ジアニシジンおよびその塩
- カドミウムおよびその化合物
- 弗化水素
- パラージメチルアミノアゾベンゼン
- クロム酸及びその塩
- β−プロピオラクトン
- マゼンタ
- クロロメチルメチルエーテル
- ベンゼン
- ビス(クロロメチル)エーテル
- 五酸化バナジウム
- ペンタクロルフェノール
およびそのナトリウム塩 - 塩素化ビフェニル(PCB)
- コールタール
- マンガンおよびその化合物
- ベリリウムおよびその化合物
- 砒素およびその化合物
- 沃化メチル
- ベンゾトリクロリド
- シアン化カリウム、
シアン化水素、
シアン化ナトリウム - 硫化水素
- アクリルアミド
- 3・3'-ジクロロ-4・4
ジアミノジフェニルメタン - 硫酸ジメチル
- アクリロニトリル
- 臭化メチル
- 4-アミノジフェニルおよびその塩
- アルキル水銀化合物
- 4-ニトロジフェニルおよびその塩
- インジウム化合物
- コバルト又はその化合物
- エチルベンゼン
- 1,2-ジクロロプロパン
- クロロホルム
- 四塩化炭素
- 1・4-ジオキサン
- 1・2-ジクロロエタン
- ジクロロメタン
- ジメチル-2・2-ジクロロビニルホスフェイト
- スチレン
- 1・1・2・2-テトラクロロエタン
- テトラクロロエチレン
- トリクロロエチレン
- メチルイソブチルケトン
- ナフタレン
- リフラクトリーセラミックファイバー
- オルト-トルイジン
- 三酸化アンチモン
- 溶接ヒューム
※エチレンオキシド、ホルムアルデヒドについては、特化則健康診断ではないですが、 安衛則第45条に基づき特定業務従事者の健康診断を6ヶ月以内ごとに1回行う必要があります。
指導勧奨による特殊健康診断
指導勧奨による特殊健康診断とは、労働安全衛生法により定められた健康診断の他に、特定の物質を扱ったり、 特定の業務に就いたりする場合に行政からの通達により指導勧奨されている健康診断の事です。
対象とされる物質及び業務
- ・紫外線・赤外線
- ・アルキル化水銀化合物
- ・騒音
- ・クロルナフタリン
- ・沃素
- ・黄燐または燐の化合物
- ・木材
- ・有機燐剤
- ・超音波
- ・亜硫酸ガス
- ・メチレンジフェニルイソシアネート
- ・二硫化炭素
- ・チェンソー
- ・ベンゼンのニトロ、アミド化合物
- ・チェンソー以外の振動工具
- ・脂肪族の塩化または臭化化合物
- ・金銭登録作業
- ・砒素化合物
- ・引金工具
- ・フェニル水銀化合物
- ・VDT作業
- ・レーザー光線
- ・重量物取扱い作業
その他の健康診断
下記健康診断に関しては当該法令に基づき実施しております。
じん肺健康診断
じん肺法第3条、第7-第9条の2
電離放射線健康診断
電離放射線障害防止規則第56条
四アルキル鉛健康診断
四アルキル則第22条
石綿健康診断
石綿障害予防規則第40〜第43条
高気圧健康診断
高気圧作業安全衛生規則第38条